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断熱性能の高いカーテンづくり、その先駆けとなった天然素材シラスバルーン

2023.10.25 技術紹介

カーテンの断熱性を高めるカーテンづくりを追究していたコーテックでは、2010年頃に天然素材であるシラスバルーンを生地にコーティングすることで、より断熱・遮熱性の高いカーテンをつくることに成功しました。

シラスバルーンとは、太古の火山噴火で堆積した火山灰地層であるシラス台地から採掘される天然素材(シラス)のことで、約1,000℃の高温で焼成・発泡させた微粒の中空体です。白色で軽量、微粒といった特性から、石鹸や洗剤、化粧品、建材や断熱・遮熱塗料など多様な分野で利用され、環境にやさしい素材として知られています。

当時、カーテンへの遮熱性付与は、酸化チタンなどの材料を使い、光を反射・遮断する技術が主流でしたが、発泡スチロールなどの断熱性能に着目し、バルーン状の成分をコーティングする技術を開発しました。コーテックではこの成分としてシラスバルーンを採用。コーティング樹脂中に、空気の層となって存在することで、カーテンに断熱性と保温性の付加機能を備えることができました。

シラスコーティングの表面拡大画像
シラスコーティングの断面拡大画像

一方で、シラスが火山灰由来の天然素材ゆえに、カーテンに細かい茶褐色や赤色などが混じり、異物に見えるという理由から徐々に生産されなくなってしまいました。現在では、シラスバルーンの代わりにガラスバルーンを用いることで、外観も美しく断熱性のある加工を行っています。

当時より、世界レベルで環境意識が高まっている昨今、シラスバルーンを使った新たな製品づくりが、再び日の目を見る機会が訪れるかもしれません。